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腰痛の原因って?筋肉?柔軟性?

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腰痛とは

私たち人間は立って日常生活を過ごすことが多い生き物です。二足歩行で歩行し、作業を行いますが、その際、上半身の重みの多くは腰椎と骨盤で受け止められているため持続的に腰に負担がかかります。筋力の低下や姿勢不良、業務の疲労などで過度な負荷が腰にかかることで腰痛が引き起こされます。

 

 

腰痛症の定義

日本理学療法診療ガイドライン(2012)で、腰痛症とは「安静時・運動時を問わず腰部の疼痛を主訴とする疾患の総称」と定義されています。

また、腰痛症は「特異的腰痛」と「非特異的腰痛」の2種類に分類されます。

  1. 特異的腰痛
    腰椎椎間板ヘルニアや脊椎圧迫骨折など、原因が特定できるものを指し、腰痛症の約15%を占めます。
  2. 非特異的腰痛
    画像所見(レントゲンなど)で明らかな器質的変化が認められず、原因が特定できないものを指し、腰痛症の約85%を占めます。

 

非特異性腰痛のうち、筋および筋膜といった、いわゆる関節外軟部組織の緊張が強く、圧痛点が存在する慢性腰痛状態を、筋・筋膜性腰痛と呼びます。その原因は腰背部の筋・筋膜の疲労や過伸展などのオーバーユース(酷使している状態)が挙げられます。

 

主婦の方が家事で疲労したり、働き盛りのサラリーマンの方がデスクワークや車の運転で腰に負担をかかる…これらは筋・筋膜性腰痛の可能性があります。

 

それでは次に筋・筋膜性腰痛の原因について詳しく見ていきましょう。

 

 

筋・筋膜性腰痛の原因

胸腰筋膜が伸張されることで筋膜が緊張状態となり、腰背部を安定させます。しかし、過度な伸張ストレスは腰痛を誘発してしまいます。

 

筋肉への過負荷

 重たい者を床から持ち上げる際に広背筋と大殿筋の働きが重要になります。大殿筋は股関節を安定させ、広背筋は持ち上げる荷物の負荷を腕から体幹へと伝達します。これらの筋が筋力低下や柔軟性の低下を起こしていると腰部への負担を増大させます。また、過度な負荷が筋肉にかかることで筋自体が損傷したり、痛みによって防御的に収縮し、筋緊張を高めてしまいます。

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柔軟性の低下

身体の関節にはそれぞれ特徴があり、筋が適正に活動することで関節運動を効果的に行われます。身体は可動性が必要な可動性関節と安定が必要な安定性関節が交互に連結しており、それぞれ影響を与えます。

関 節 関節に求められる機能
上部頸椎 可動性関節
下部頸椎 安定性関節
胸椎 可動性関節
肩甲胸郭関節 安定性関節
肩関節 可動性関節
腰椎・仙腸関節 安定性関節
股関節 可動性関節
膝関節 安定性関節
足関節 可動性関節
足部関節 安定性関節

 

腰を支えている腰椎・仙腸関節を見てみましょう。安定性関節であるため、大きな可動性よりも体を支える役割が求められます。

 

身体の柔軟性の評価をするにあたって簡単な方法があります。それは立位での体前屈(̪指床間距離 FFD)です。

 

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写真を見てください。ぱっと見では指が床に届いていますが、足部より股関節が後ろにあります。ハムストリングスが固く、股関節の可動性を骨盤を後傾して代償しています。また胸椎の可動性の低下を腰椎の動きで代償しています。

 

本来、腰椎は安定性関節であるにも関わらず、隣接する関節の可動性の低下により腰椎が過剰に動くことで腰部への負担がかかりやすい状態になっています。

 

 

まとめ

仕事や家事などの生活習慣、姿勢不良など様々な要因によって腰痛は引き起こされます。次回は腰痛軽減や腰痛予防の方法について紹介したいと思います。