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高齢者の転倒ー骨折のリスクー

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転倒の定義:本人の意思に反して、足以外の身体の部分が床に接すること

 

欧米では65歳以上の高齢者の1/3が1年に1回以上の転倒を経験し、日本では地域在住の高齢者の10~20%が1年に1回以上の転倒を経験しているとされています。施設ではそれ以上の頻度で転倒事例が起きています。

 

半数以上が屋外で転倒していますが、75歳以上の大腿骨近位部骨折では3/4が室内で転倒しているとされています。

 

前回の記事で要支援・介護の原因となるものの第5位に骨折・転倒が挙げられています。ちなみに全国で約60万人の方が骨折・転倒によって要支援・要介護状態になっていると言われています。

 

 

 転倒の要因は様々あります

内的因子

外的因子
身体的なもの 認知・心理・行動的なもの 環境的なもの 課題や動作によるもの
バランス能力 注意 床や道路の状態 動作の難易度
協調性 意識状態 障害物 ・高いバランス能力を要する
筋力 高次脳機能障害 段差や階段 ・大きな筋力を必要とする
持久力 身体イメージ 照明 ・スピードを伴うもの
柔軟性 精神状態 履き物 ・二重課題
姿勢 転倒恐怖感 衣類 ・不慣れな動作
感覚 運動習慣 歩行補助具  
  性格 服薬  

 

私たち理学療法士が主に関わるのは身体的な要因と環境的な要因です。

身体的なものに対しては日々のリハビリで、環境的なものに関しては退院前の家屋調査や訪問リハビリで整えます。

 

今回は私たちが主に関わる身体的な要因について掘り下げていきます。転倒リスクをスクリーニングする評価方法をいくつか挙げさせていただきます

1.立ち上がり、歩行に必要な体幹・下肢筋群の筋力を評価する方法

・膝伸筋の評価:片足で膝30°程度のスクワット動作を連続で5回

・下肢伸筋評価:立ち上がり動作を連続で5回(ゆっくり行う、片脚で行う)

・足関節屈筋の評価:片脚でつま先立ちを5~10秒

・一側の大腿部を水平に上げた片足立ちを5~10秒

 

2.簡易にバランス能力を評価する方法

・片脚立位20秒保持 → 屋外歩行ほぼ自立

・つぎ足立位20秒保持 → 屋内歩行ほぼ自立

※動作が可能であるからといって絶対できるとは限りません。あくまでスクリーニングテストです。

 

3.易転倒性の判断に参考となる評価値

・Berg Balnce Scale(BBS):56点中45点

 合計点が45点未満は、室内での転倒の危険性あり

・Functional Reach Test:25㎝

 健常高齢者は25㎝以上

・Timed Up and Go Test:10秒

 健常高齢者は10秒未満

・片脚立位(開眼):10秒以上

 健常高齢者は10秒以上

理学療法の現場で主に用いられる評価法なので一般の方はちんぷんかんぷんかもしれません。学生さんや新人の方はあくまで指標であり、分権によっても基準値が異なるので詳しく知りたい人は自分で調べてみてください。

 

4.Stops walking when talking(Lingin-Olssion 1997)

歩行中に話しかけられると立ち止まってしまう高齢者は、6か月以内に転倒する可能性があります。これは二重課題…つまり話すことと歩くことを同時に行えないため、環境の変化や状況の変化に対して急な対応ができず、転倒リスクが高まっていると言えます。

 

以上、転倒の危険についてでした。ご自分、ご家族で試してみる方は近くに捕まれるものを用意したり、ふらついたときに咄嗟に支えられるように誰かが近くにいるなどの準備をしてください。学生さんや新人セラピストがバランスの評価を行う際には、評価内容自体が転倒を誘発する課題であるため、事前に身体機能を評価し、本人にあった課題レベルで評価を行い、転倒にはくれぐれも気を付けてください。