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介護予防!要介護になる原因とは?

 

介護予防について語る上でまず、日本人の死因と要介護原因のランキングを見て頂きたいと思います。

 

日本人の死因

1位 悪性新生物(がん)

2位 心疾患(心筋梗塞

3位 肺炎

4位 脳血管疾患(脳卒中

5位 不慮の事故

6位 老衰

7位 自殺

8位 腎不全

9位 慢性閉塞性肺疾患

10位 肝疾患

 

日本人の介護原因

1位 脳血管疾患(脳卒中

2位 認知症

3位 高齢による衰弱(体力低下)

4位 関節疾患(関節の痛み)

5位 骨折・転倒

6位 心疾患

7位 パーキンソン病

8位 糖尿病

9位 呼吸器疾患

10位 悪性新生物(がん)

 

要介護の原因の2位~4位が占めているものは総じて老年症候群といわれています。

 

 

老年症候群とは?

認知症・転倒・失禁・低栄養など加齢(老化)による機能低下と時に様々な疾患の重複が存在することにより、日常生活活動が低下する状態

 

 

 それでは老年性症候群を構成する要素について説明していきたいと思います。

 

1.サルコペニア

サルコペニアとは年齢に関連する筋肉量の減少のことを指します。足の筋力は腕より1.5倍低下しやすいと言われています。腕は非荷重の関節にあるのに対して、股関節、膝関節、足関節は立つ、歩くなど何をするにしても負荷がかかります。年齢を重ねるにつれて運動量が低下することが老化により足の筋力が落ちやすい要因の一つでしょう。25歳から徐々に低下し、50歳を過ぎると年1%筋力低下されると言われています。

 

28歳の私は徐々に筋力、体力ともに低下していくのでしょう。今から運動を行っていかないと!…長続きしないけど(苦笑)

 

2.転倒、骨折

65歳以上の在宅高齢者の約20%が1年間に1回以上転倒していると言われており、そのうち、10~15%の高齢者が何らかの骨折を起こしているという統計が出ています。中でも大腿骨近位部骨折は年間16万人が受賞しており、半数は歩行レベルが低下(杖などの歩行補助具の使用や介助を要する状態)し、約19%が寝たきりとなっています。

また、80歳以上の女性の2人に1人は脊椎椎体圧迫骨折を有しています。

 

転倒 → 骨折 → 歩行能力低下 → サルコペニアの進行 → 転倒リスク増大

上記のような負のスパイラルを招いてしまうわけです。

 

3.認知機能の低下

知能は大きく2つに分けて結晶性知能と流動性知能の2種類があります。結晶性知能は、個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得していく知能であり、言語能力、理解力、洞察力などを含みます。流動性知能は新しい環境に適応するために、新しい情報を獲得し、それを処理して操作していく知能であり、処理のスピード、直感力、法則を発見する能力などを含みます。結晶性知能は比較的保持されるのに対して、流動性知能は加齢に応じて徐々に低下していきます。

 

ニュースで高齢者の運転事故が多く取り上げられるのも処理速度や直感力を司る流動性知能の低下が関係しているのでしょう。

 

4.尿失禁

70歳以上の地域高齢者は月に1回以上の尿漏れの経験がある割合が33.2%を占めるとされるデータがあります。一見、尿失禁と老年症候群は関連性がないように思えますが…

 

尿失禁の頻度が増える → 外出を控える → 活動性低下 → 生活機能低下

 

このように負のスパイラルを引き起こしてしまうのです。

 

5.摂食・嚥下

肺炎は死亡原因の第3位を占め、96.6%は65歳以上の高齢者です。また、高齢者の肺炎の7割は誤嚥性肺炎が原因で発症します。

 

肺炎から起因する低栄養や脱水は活動制限や一過性の認知機能低下、体力低下を招き、活動意欲の減退を引き起こします。

 

 

それでは、老年症候群を予防するためにはどうすればいいのでしょうか。それは…運動を行うことです!

 

老年症候群への運動の効果

・筋トレによる筋肥大や筋力向上は何歳でも効果があることは科学的に証明されています。(西端 泉:高齢者のレジタンストレーニングの効果に及ぼす強度の比較,2010)

・転倒・骨折を減少させます。また、筋トレによる除痛、生活機能向上の効果があります。

・認知機能や脳容積を改善が期待できます。

・骨盤底筋群の体操により、失禁を改善します。

 

では、具体的にどんな運動をすればいいのか、運動以外に何に気をつければいいのか...それについてはまた別の機会に